押し花の鮮やかな色を保つためのポイントは、早く乾燥させること
早く乾燥させるためには、押し花にする前の下処理が必要です。花を丸ごと、そのまま押し
花にするということは稀で、ほとんどの場合、押し花の前に花、茎、葉と分解します。大き
な花や厚みのある花の場合は、花の水分を出やすくするために、花びらや葉っぱに裏からサ
ンドペーパーで傷を入れたり、茎を縦半分に切ったり、つぼみを縦半分に切ったりします。
子どもの頃は、電話帳などに挟んで乾燥させていましたが、現在は、乾燥剤を染みこませた
乾燥シートにはさみます。植物の厚みに対応するためにスポンジシートを活用します。
美しい押し花を作りましょう!
①乾燥シート、スポンジシート、新聞紙を順番に重ねます。新聞紙の上に、押し花したい植
物を重ならないように並べます。植物の上に、新聞紙、スポンジシート、乾燥シートを順番
に重ねます。
②45リットルの厚めの透明袋に①をいれて、空気を押し出すように包み、厚いアルバムや
辞典、図鑑などで重しをします。乾燥シートは、植物の水分を吸って湿ってきますので、途
中で取り出し、アイロンなどを使って、乾燥させます。植物がパリパリになれば完成です。
押し花は、湿気と紫外線が苦手
乾燥した花は、種類別、色別に、乾燥剤を入れた、保存袋に入れて、日の当たらない場所で
管理します。ハガキやしおり、コースター、ランチョンマットなどの小物にしたりあしらっ
たり、額にして飾ったりします。シールにしておくと、コップや皿、カードなどに貼って、
手軽に生活に取り入れることが出来ます。湿気や紫外線をさければ、半永久的に美しさを保
つことが出来ます。押し花額を飾る時には、窓際をさけて飾ると、長く楽しめます。
季節に合わせて、押し花額を楽しむ
庭で育てた花はもちろん、結婚式のブーケやお祝いに頂いた花束も額にして残すことが出来
ます。
私と押し花との出合いについて
初めて押し花に魅力を感じたのは、中学生の頃でした。片付けをしていて押し入れの奥か
ら、偶然、見覚えのある落書きノートを見つけました。パラパラめくると、カラカラに乾燥
したれんげ草が、ページからこぼれてきたのです。おそらく、摘んできたれんげ草を押し花
にした日から、もう5~6年は経っていたのではないかと思います。懐かしい記憶が蘇り、
感動しましたね。その瞬間のことは、今でもハッキリと思い出せます。
今では珍しくなったれんげ草畑ですが、私の幼かった頃は、春の田んぼは一面れんげ草畑で
した。寝転ぶと全く姿が見えなくなるので、かくれんぼをしたり、ピンクのれんげ草畑に、
時々咲いている白いれんげ草を見つけたりして遊んでいました。れんげ摘みをして、持ち帰
った花を、落書きノートに並べて、押し入れの重たそうな箱の下に敷いたまま、ずっと忘れ
ていたようです。セピア色のれんげ草は、瞬時に、ピンクのれんげ草畑でかくれんぼをして
いた頃に連れて行ってくれました。
その後、何年も経って、結婚して暮らしたのが、熊本県阿蘇でした。阿蘇は、自然がいっぱ
いで、季節毎にかわいい野の花があちらこちらに咲き乱れます。ある日、押し花の作品展で
額やハガキにアレンジされた阿蘇の野の花の色鮮やかな押し花を見て、一目惚れ、教室に通
うことにしました。作品展や幾度かの資格試験を経て、押し花教室を始めました。
幼い頃に、落書きノートに挟んだれんげ草は、ピンクの色は残していましたが、田んぼのれ
んげ草畑の鮮やかな色とは違い、くすんでセピア色でした。でも、大人になって出合った押
し花は、自然の中で咲いているような美しい色を保っていました。この美しい押し花を作る
コツは、ただ一つ。早く乾燥させる事でした。花の命ははかなく短い・・・でも押し花にす
ると半永久的に楽しむことが出来るのです。