愛すべき学校図書館
■学校図書館に興味をお持ちの方、司書さん、読
み聞かせボランティアさん、保護者の方、学校現
場の先生方に、学校図書館の1年間の取り組みを
お届けします。
■私が、学校図書館の司書として、やってきたこ
との全てを月毎にまとめてみました。何度も視察や取材をうけた愛すべき図書館です。皆さ
んのお役に立てれば幸いです。
学校図書館司書として
■私は、週5日間、一日5時間勤務です。職員朝礼(月・木)、職員会議、教育相談会、委
員会活動、朝の読み聞かせ(毎週水)、各クラスの図書の時間には、勤務しますので、その
日の行事等で勤務時間が変わることになります。
■皆さんの身近な学校の図書館には、司書がいますか?子ども達が学校にいる時間は、ドア
が開けられていますか?ただの貸本屋になってはいませんか?
子ども達が学校にいる間、いつもドアが開いていて、迎えてくれる人がいて、子どもの「読みたい、知りたい」をサポートできる図書館。
子ども達が、うれしい時、悲しい時、寂しい時、切ない時にふらりと立ち寄れる、子どもの心を抱いてあげられる図書館。
今や学校図書館は、読書センター、情報センター、学習センター、ふれあいセンター、癒しセンター・・・etc、いろいろな機能がもとめられているのです。
一人でも多くの子ども達の心に「本っていいなぁ」「図書館っていいなぁ」という温かな記憶を残してあげたい思います。
そして、子ども達には言葉を大切にする想像力豊かな大人に育ってほしい。
本は心に翼をつけてくれます。この自由な心の翼は、きっと、子ども達がいつか社会の荒波の中を生きていく時、生きる勇気や希望を自らつかむ大きな力となるのです。
■熊本市は、全ての小中学校に、司書補配置。
バーコード方式による貸出・返却、本の検索、データーの集計・分析も瞬時に行なえます。
学校図書館発行の図書利用カードが市立図書館や公民館図書室でも利用できます。
図書資料の共有化が進められ、各学校間での物流もととのっています。
熊本市の小中学生だれでも、読みたい本があれば、検索し予約をすれば、他校の本を借りる
ことも出来ます。
笑顔あふれる、居心地のよい図書館を目指して、さぁ、やってみましょう!!
開館準備
■新学期、まずは掃除です!
「図書館ってやっぱり落ち着くよね」「うわぁー○○があるよ」
図書館に入った瞬間の満足そうな子ども達のこの言葉は、私の図書館づくりの原動力です。
資料の充実は何よりも大切だと心得ていますが、折角なら季節感のある清潔で明るい図書館
で、子ども達を迎えたいものです。
料理も季節の花の飾られたテーブルで、料理を引き立てる素敵な器に盛られたものを、
すてきなBGMを聞きがら頂きたいと思いませんか?
子ども達の1冊の本との出会いも、テーブルコーディネートするように、整えてあげたいと
思っています。
新学期はまず掃除、ホコリを払ってすがすがしい風を通し、図書館の住人である私自身が居
心地のいい場所づくりをします。
子ども達は、いつもでも、にぎやかで、どろんこで、何にでも興味津々で、じっとしていま
せん。
居心地のいい図書館には、10分の休み時間でも、大勢の子ども達が、ダーッとやっ来て、
ダーッと帰っていきます。
ホコリ、汚れ、臭いは子ども達が、よく訪れいる居心地のいい図書館の証なのです。
でも、本はツルンと清潔にしておきたいもの。返却された本は、その都度、傷みや汚れを確
かめて、かわいたタオルでひと拭きして書架へ戻します。静かな図書館では、ぬれた雑巾、
かわいた雑巾、モップ、掃除機がいつも出番を待っています。長期の休み明けは、この掃除
道具がフル回転しますよ。
明るく、暖かい、季節感ディズプレイ
■図書館入り口の表札は、木のカズラや木の実を
使って手作りしました。
■書架やテーブルの上には小さな鉢植えを置いて
います。
■ポトス、オリズルラン、多肉植物など挿し芽で
増やせて管理が簡単な観葉植物がおすすめです。たっぷりと水をあげ、ホコリを落として、
春休み中に傷んでしまった葉っぱの手当てをします。
鉢植えや花瓶は、不向きかと思われますが、いやいや、子ども達、喜びますし、興味を示し
ますよ。観葉植物を安定感のある鉢に、野の花をかわいい花瓶に・・・やわらかな雰囲気作り
には欠かせないアイテムです。
■図書館入り口の季節のテーブルを整えます。季節にあったディスプレイを心がけ、季節や
行事に合った本を4、5冊並べます。
<季節のテーブル ① >
■たくさんの桜を折り紙で折って飾り、桜の下の
池には、折り紙で折ったオタマジャクシを泳がせ
ましたよ。布でチューリップ、フェルトでチョウ
チョも作ってみましたよ。「1ねんせいのみなさ
ん、にゅうがくおめでとう」の言葉を。『くんち
ゃんのはじめてのがっこう』(ペンギン社)『ともだちくるかな』(偕成社)『こすずめの
ぼうけん』(福音館書店)『にじいろのさかな』(講談社)などの本を並べました。
<季節のテーブル ② >
■色画用紙や折り紙を使って、大きな木、チュー
リップなど色とりどりの花、ちょうちょを立体的
に飾りました。「本はともだち」「ようこそ、と
しょしつへ」の言葉をそえました。なぜか、軍手
で作ったかわいい1年生のが人気です。フェルト
でランドセルも作って、背負わせましたよ。
■『たんぽぽ』(福音館書店)、『ルピナスさん』(ほるぷ出版)『ちいさいおうち』(岩
波書店)などを置きます。
<季節のテーブル ③ >
■布を使ってタンポポのタペストリーを作ってみ
ました。
■工藤直子さんの『のはらうた』から「ねがいご
と」の詩を一針一針刺繍してみました。いい感じ
に仕上がりました。
「ねがいごと」
たんぽぽはるかあいたくて
あいたくて
あいたくて
あいたくて・・・
きょうも わたげをとばします
次の詩も、素敵ですよ。
「あしたこそ」
たんぽぽはるか
ひかりを おでこにくっつけて
はなひらく ひを ゆめにみて
たんぽぽわたげが まいあがります
とんでいこう どこまでも
あした
たくさんの「こんにちは」に
であうために
資料の準備
■学校図書館は、何かと学校事務の先生にお世話になります。
普段からコミュニケーションをとって、自分の図書館に対する思い、夢や希望をつぶやいて
いると、いろいろと協力してくださいます。
先生方や子ども達から本のリクエストを聞いて、次回購入予定図書リストをつくっておきます。
春休み中に新しい本が納品されていれば、受入作業(バーコード、ラベル、ブッカー、入
力、配架)を急ぎましょう。
春休み中の旅行などで入手したパンフレットやリーフレットの整理、新聞のスクラップ、雑
誌の整理も行ないます。
■新年度1学期の貸出のスタートは、4月23日の「子ども読書の日」に行います。
開館を心待ちしている子ども達の「貸し出し、まだですか?」の言葉に急かされつつ、励ま
されつつ、楽しみながら準備を進めます。
各種コーナー
<テーマの本のコーナー>
■図書館の入口近くのテーブルに毎月テーマを決めて本を紹介します。
フェイスアウト(表紙を見せて展示)の書架をテーブルの中央に置き、毎回20冊ほどの図
書を展示します。
■4月のテーマは「花と虫」
陽射しに暖かさを感じるようになると校庭の木々は瑞々しく新緑の葉を揺らし花壇には、色
とりどりの花が咲いています。
チョウチョ、テントウムシ、ダンゴムシ、ミツバチ・・・
いろんな虫がやってきます。
<新しい本コーナー>
■新しい本は、図書室前の廊下の本棚にフェイス
アウトにして紹介します。
■手に取って、新しい本と出合ってほしい。上の
方に高学年向けの本、下の方に低学年向けの本を
展示します。
廊下に並べるとホコリが付きやすいので、こまめに掃除をすることが大事です。
<おすすめの本コーナー>
■「先生、おもしろかったよ」満足そうに、そん
な言葉をかけてくる子ども達。普段から、おもし
ろい本に出合ったら「ブックレター」を書くよう
にすすめています。
■子どもは、お絵かきが大好き。本のワンシーン
の絵を描き、おすすめのメッセージを添えたブックレターは、ホワイトボードに貼っていき
ます。1年間に20枚以上書く子が、かなりいますよ。
このブックレターからから数冊選んで、よく目立つ貸し出しカウンターの前に本と一緒に展
示して紹介します。
■図書委員のおすすめの本コーナーもあります。
メッセージは簡単に取り替えが可能です。自分の
おすすめした本が、貸し出しされると、うれしく
なる図書委員さん。「次は、どの本をおすすめし
ようかなぁ」図書委員の読書量も増加します。
■クラス貸出図書の準備(各クラス100冊ほど)
各クラスに、キャスター付きのブックトラックを
購入してもらい、クラス貸し出し図書を入れてい
ます。両面合わせて、約300冊が納まる丈夫でか
つ動かしやすいものです。本の入れ替えや追加を
する時にも、低学年でも図書室まで押してくるこ
とができます。クラス貸し出し図書の選書は、担任の先生に要望を聞いて揃えます。
「朝のいっせい読書」のための読み物、各教科の教材と関連した図書、調べ学習、総合的な
学習の時間に利用する資料を貸し出しします。
それぞれの先生から教科や学校行事の年間計画と照らし合わせて、いつ頃どんな資料が必要
なのか、事前に、聞いておくと十分な資料の収集が可能です。