図書室の彩り

12月の学校図書館 ー子どもが喜ぶクリスマスディスプレイ

子どもが喜ぶクリスマスディスプレイ

1.12月の図書館設営

本校の図書室は、12月1日にクリスマスのディスプレイに変えました。

図書室前にクマのウェルカムボードを手作りして置いていますが、毎年12月がやって来るとこのクマくんにサンタクロースの衣装を着せます。

子どもたちの喜ぶ顔を想像しながら手作りしました。

白いポンポンのついた赤い帽子、手袋とブーツは衣装に縫い付けました。

子どもと等身大のクマさんサンタが、出迎えます。

手作りのリース、ツリー、クリスマスのペーパークラフトなどをあちらこちらに置いて、BGMもオルゴールのクリスマスソングに変えました。

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2.12月のテーマの本コーナー

これまで「ふゆ」「ゆき」「心がポカポカあたたまる本」などをテーマにしました。

子ども達にとって12月といえばやっぱり”クリスマス”のようです。

クリスマスがどんな日なのかなんて考えてお祝いをする人は、ほんの一握り。

子ども達に「クリスマスってどんな日だと思う?」と聞てみても、「ケーキを食べる日」「サンタがプレゼントをくれる日」と答える子がほとんどです。

ケーキやプレゼントを楽しみにするのは子どもの正直な気持ち、でも、それだけで終わってしまうなんて、もったいないと思います。

クリスマスの本を手に取りながら、クリスマスのこと、サンタクロースのことを夢いっぱいに子ども達に話してあげたいと思っています。

      

・『賢者のおくりもの』(オー・ヘンリー/富山房)

よく知られているお話ですが、クリスマスにプレゼントをもらうことで頭の中がいっぱいの子ども達は、ひたすら相手の幸せを願うばかりの貧しい夫婦のこの上なく美しいお話を聞いてどう思うでしょうね。

・『サンタクロースっているんでしょうか?』(ニューヨーク・サン新聞社/偕成社)

8才の女の子バージニアが、「サンタクロースっているんでしょうか?」と書いた手紙に、ニューヨーク・サン新聞社が答えた返事が、1冊の本になりました。

「そう、バージニア、サンタクロースはいるのです。

サンタクロースがいる、とうのは、この世の中に愛ややさしさや、思いやりがあるのと同じくらい、たしかなものです。

わたしたちのまわりにある愛や思いやりは、あなたの生活を美しく楽しいものにしているでしょう?」

毎年子ども達に読んであげる、そして、自分自身も納得する1冊です。

・『サンタの友だちバージニア』(村上ゆみ子/偕成社)

「サンタクロースっているんでしょうか?」と質問をしたバージニアのその後について書かれています。

幼い我が子から「ママ、サンタクロースっているの?」と尋ねられたバージニアの孫娘が語る形で、バージニアの生涯について書かれています。

・『クリスマスのまえのばん』(ターシャ・チューダー/偕成社)

クレメント・ムアの詩が絵本になったものは、他にもありますが、ターシャ・チューダーの『クリスマスのまえのばん』は、最高です。

子どもだけでなく大人もクリスマスが待ち遠しくなる一冊です。

・『急行「北極号」』(クリス・ヴァン・オールズバーグ/河出書房)

クリスマス・イヴの夜、北極点をめざす急行「北極号」に乗った少年は、北極点でサンタからクリスマスのプレゼント第1号を手渡されます。

「さて、君はクリスマスになにがほしいかね?」サンタに尋ねられて、少年が答えてたのは・・・。絵も文もとても素敵です。

・『子うさぎましろのお話』(ささきたづ/ポプラ社)

1年生に毎年読み聞かせをする1冊です。

子うさぎのましろは、サンタさんからプレゼントをもらったのに、もう一度プレゼントが欲しくなって体に黒いすみをぬり別のうさぎになりすまし、今度はひとつの種をもらいます。白うさぎに戻れなくなったましろは、嘘をついたことを反省し種を土に埋めて神さまにおかえしします。

すると・・・まぁ!なんて素敵なプレゼント!

・『メリークリスマス』(市川里美/富山房)

まず、「クリスマス物語」が書かれています。

そして、イギリス、ドイツ、フランス、インド、アメリカ・・・

色々な国でのクリスマスの迎えかたが書かれています。

色々な国のクリスマス飾りや作り方、それにまつわるお話、ケーキやクッキーのレシピ、賛美歌・・・、絵本ですが読み終わるととても豊かな気持ちになる1冊です。

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3.長谷川摂子さん講演会『子どもの内なる力』

熊本子どもの本の研究会主催の長谷川摂子さん講演会がありました。

長谷川摂子さんの本といえば「めっきらもっきらどおんどん」「おっきょちゃんとカッパ」「きょだいな きょだいな」(いずれも福音館書店)など、よく知られていますが、どの絵本も子ども達に大人気で低学年への読み聞かせにもぴったりです。

  

絵本や昔話を交えて「子どもの内なる力」について、語られました。

まず、お話会に訪れる”あばれんぼうのたくや君”という小学生の男の子のお話をされました。

たくや君はお話会に来ても飛んだり跳ねたりしてあまりお話には興味を示さない子。

ある日、長谷川さんが大分県の昔話「おてんとうさまの金くさり」を語っていらっしゃったところ、とても興味を示し、山姥が人を食べるシーン、「足をちぎっちゃバリバリ、手をちぎっちゃバリバリ・・」を気に入ってしまったそうです。

語っている長谷川さんの方は、「このお話は、もう語りたくない」と思われたそうなのです。

「足をちぎっちゃバリバリ、手をちぎっちゃバリバリ・・」山姥が人を食べるシーンは、

語っていてきもちわるくなるのだそうです。

ところが、たくや君は「足をちぎっちゃバリバリ、手をちぎっちゃバリバリのお話をもう1回やって」と度々せがむのだそうです。「あの話は、もうしない」と言うと、「足をちぎっちゃバリバリ、手をちぎっちゃバリバリ・・」と口癖の如くいつもつぶやいている。

1年後位に「たくや君、あなたがお話して聞かせて」と言ってみたところ、大分県の昔話「おてんとうさまの金くさり」を見事に語って聞かせてくれたそうです。

ちょっと残酷なシーンのあるお話を、あばれんぼうの男の子が好んで何度も借りて帰って行くと、私もちょっと心配することもありました。

昔話年令というものがあって、5才から10才とおっしゃいました。

そして、この時期の子どもは社会的動物というよりも自然的動物であり、子どもと自然(動物)との命と命のふれあいの中で、命の喜びや命の悲しみを知るのだそうです。

子ども達は昆虫など小さな生き物と戯れて遊ぶのが大好きです。

でも、可愛がりながらも、「カエル突き」、「カブトムシの角の収集」「メダカでいりこ作り」「アリの巣に洪水を起こす」・・・など残酷な行をとりませんか?

これは、子ども達が「命の行く末をみたい」という欲求を満たしているのだということです。

これは、心の深い所で誰もが持ち合わせている本能だと。

残酷な時期に生と死のミニドラマを体験し、弱肉強食を知り、弱い自分を意識したり、強さに憧れを抱いたり・・・命の探求をしているのだと。

野性のほとばしりとも言えるこの残酷な行動をとる時代は、ある意味、通らなければならない道なのだとおっしゃいました。

子どもは大好きな遊びのなかで命を知る、この自然な成長過程を通り過ぎると、子どもは社会化していけると。

「なるほど」と大きく頷いてしまいますね。

ここで、長谷川さんは笑いながら釘を刺されました。

「残酷な体験が命の喜び悲しみを知る通らなければならない道だからといって、大人がお膳立てしてあげてはいけませんよ」と。

「お墓を作ってあげましょうね、と声をかけてあげることは大切。

お墓を作るという行為は人間にしかできない」と。

「ぶんぶくちゃがま」「三びきのやぎのがらがらどん」「オオカミと七ひきの子やぎ」などの絵本をには、何れも残酷なシーンがでてきます。

これらのシーンは、昔話時代(5から10才)の自然な欲求を満たしてくれるものであって、大切な役割を持っていると強くおっしゃい、残酷だからと書きかえられた絵本の存在を嘆かれました。

「子どもは、野性の時代を通り抜けて命を知る。子どもは、自然に属している。

自然を破壊することは子どもを破壊すること」と結ばれ、遊びの体験を奪ってしまいがちな、幼い時代の多すぎる習い事にも疑問を投げかけられなした。

「足をちぎっちゃバリバリ、手をちぎっちゃバリバリ・・」のシーンがお気に入りだったたくや君は、傷ついたスズメを拾ってきて介抱してあげるような優しい少年時代を経て、現在は、

獣医さんを目指す学生さんだそうです。

最後に「めっきらもっきらどおんどん」を長谷川さんご本人が読み聞かせしてくださり、贅沢なひと時で講演会が閉じられました。

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