図書室の彩り

2月の学校図書館「子どもたち、詩をよみなさい」

2月の図書館設営

1.季節のテーブル

■2月、子どもたちの関心は「バレンタインデー」でしょうか?

「チョコレート」「好き」・・・そんな言葉から、本を選んで並べてみました。

■季節のテーブルには、『100万回生きたねこ』のタペストリーを手作りしてみました。

タイトルにチョコレートの入った本、美しく心温まる子ども向けの恋のお話の本を準備しま

した。

      

2.テーマの本のコーナー

<今月のテーマの本のコーナー>には鬼の出てくる本を並べました。

テーマ「おに」

■2月3日は、節分です。子ども達は、それぞれ

の家庭で、思い思いに豆まきをして楽しい時間を

過ごすことでしょう。

■私たちの中にすむ心の鬼も追い出して2月4日

は立春です。

■「おに」をの出テーマに本を並べました。鬼が登場する本は、結構たくさんありますし、

子ども達には人気の本が多いですね。

        

「子どもたち、詩をよみなさい」

子どもたち、詩をよみなさい。とびきり上等のいい詩を読みなさい。

いい詩というのは、詩人が自分の思いをどこまでも深く掘りさげて普遍(ほんとうのこと)にまで届いた詩のことです。

詩人の仕事は、生きる歓びをうたうことです。

いい詩はみな、生きる歓びにあふれています。

いい詩を読むと、ふむふむそうか、となにかがわかります。

やさしい気持ちになります。

疑問に思っていたことがぱっと解けることもあります。

(中略)
生まれてから死ぬまでの一生の間、自分はなぜ生まれてきたのか、何の用事でこの地球上にいるのか、ほんとうの生き方というものがあるのかー悩みはつきません。

その折々にこの詩集は役に立ちます。

気に入った詩にであったらなんども読み返し、時には声に出して読んでごらんなさい。

読み返すたびに、階段を降りてゆくように、真実の底にたどりつくでしょう。

生きていてよかった、と思う時が、かならずきます。(毎日新聞広告)

■司書の仕事をするようになって、まど・みちおさん、金子みすゞさん、工藤直子さん、谷

川俊太郎さんらの詩をくり返し読むようになり、短い言葉の中にある真実、真理に感動しま

した。優れた絵本との出合いの中でも、同じような感動をおぼえることが度々ありました。

世の中の真実、真理を教えてくれる優れた詩や絵本との出合いは、この5年間の中で得た大

きな財産だったと思っています。

■春まだ浅い、寒い2月、まど・みちおさんの「くまさん」の詩を紹介しました。

   「くまさん」          まど・みちお

    はるがきて

    めがさめて

    くまさん ぼんやり かんがえた

    さいているのはたんぽぽだが

    ええと ぼくは だれだっけ

    だれだっけ

    はるがきて

    めがさめて

    くまさん ぼんやり かわにきた

    みずにうつった いいかお みて

    そうだ ぼくは くまだった

    よかったな   

              『ポケット詩集』(童話屋)

■まどさんの詩は、大好きです。

まどさんの詩を読むと、ちっぽけな自分のことがとても愛しく思えて元気がでてきますし、

生かされて生きている自分を実感し謙虚な気持ちになれます。

■「地球の用事」「アリ」「つけもののおもし」なども紹介しました。

「小さなビーズ」や「アリ」や「つけもののおもし」が、いのちの役割は、何なのだろうと

問いかけます。ちっぽけな自分のいのちの尊さに気づかせてくれます。

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    「地球の用事」           まど・みちお

    ビーズつなぎの 手からおちた 赤いビーズ

    指さきから ひざへ

    ひざから ざぶとんへ

    ざぶとんから たたみへ

    ひくい ほうへ

    ひくい ほうへと

    かけて いって

    たたみの すみの こげあなに

    はいって とまった

    いわれたとおりの道を ちゃんとかけて

    いわれたとおりの ところへ

    ちゃんと来ました というように

    いま あんしんした 顔で光っている

    ああ こんなに小さなちびちゃんを

    ここまで 走らせた

    地球の用事は なんだったんだろう   

                まど・みちお詩集「てんぷらぴりぴり」

■童謡詩人、金子みすゞの詩を『金子みすゞいのちのポエム』というコーナーを設けて紹介

していました。給食記念日のある1月には、コメントをつけて「大漁」を紹介しました。

     「大漁」         金子みすゞ

     朝やけ小やけだ

     大漁だ

     大ばいわしの

     大漁だ

     はまは祭りのようだけど

     海のなかでは

     何万の

     いわしのとむらいするだろう

■私たちのこのいのちは、ほかの生き物のいのちの犠牲の上に成り立っていることを気づか

せてくれます。「あなたのいのちをいただきます」と謙虚になること、「おかげさまで、

生かされています」といのちを大切にすることを気づかせてくれます。

■春の訪れ待たれる3月には「星とたんぽぽ」を紹介しました。

■性教育週間や人権週間には「わたしと小鳥とすずと」や「土」を紹介しました。

■青空をバックに咲き誇っていた桜が、ピンクのじゅうたんにかわる4月には「花のたまし

い」、色とりどりの花のまわりをハチがみつをあつめて回る5月には「つゆ」、6月には雨

も良いものだと思わせてくれる「お日さん、雨さん」、落ち葉の季節には「木」、寒い雪の

季節には「つもった雪」など・・・。

■若くして亡くなった金子みすゞさんの、広く、大きく、深い視点は、宮沢賢治と同じく、

生きとし生けるものを平等にみつめる思いやりに満ちた神さま、仏さまのまなざしです。

ゲストティーチャーとして

■私たち学校司書には、図書の時間や各教科の調べ学習を支援する役目もあり、図書室で子

ども達に対応することがほとんどなのですが、時々、教室にゲストとしてでかけることもあ

ります。

■例えば、教科のある単元で設定されたテーマにそってブックトークをしたり、季節の行事

に合わせた活動の前に読み聞かせをしたり、調べ学習のまとめの時間に子ども達の発表を参

観したり・・・。

■先日は、5年生の国語の時間に教室にでかけました。5年生は、学校一の元気者、おしゃ

べりさんの集団です。担任の先生は、子ども達の「聞くこと」の能力を育てるために「イン

タビューの達人になろう」という授業をされているとのことでした。

■目指すは「徹子の部屋」。子ども達は、インタビューをするにあたって、前もって相手に

ついての情報を集めたり、聞きたいこと整理して細かくインタビューの計画を立てているよ

うでした。その日の授業は、担任の先生がインタビューのお手本を示し、その後、子ども達

同士でインタビューし合うということで、私は担任の先生のインタビューの相手として呼ば

れていたのです。

先生も私にインタビューするにあたっては、計画を立て子ども達にわかりやすくするために

広用紙にまとめていらっしゃいました。

■インタビューが始まるということで、先生にすすめられた椅子に座ったところで、先生は

忘れ物を取りに職員室へ・・・。子ども達と一緒に教室に残された私は、一瞬「さぁどうし

て過ごしましょうか」と思ったのですが、放送が始まったばかりのNHKの大河ドラマ「義

経」の話をしてみました。すると、子ども達の反応がとても良かったので、弁慶が登場する

ところまで話をして、「こんな手遊びがあるのよ。できる?」といって「弁慶」という手遊

びをやってみせました。先生が帰っていらっしゃるまでのほんの4、5分だったのですが、

帰っていらした先生が「どうぞ、続けてください」とおっしゃるくらい盛り上がってしまし

た。もちろん、「続きは図書室でね」と言って止めました。

■私へのインタビューは、「手作りについて」だったのですが、小学生時代、家庭科の授業

で父親のワイシャツをリメイクして作った給食エプロンのこと⇒リメイクのこと⇒今、楽し

んでいる着物のリメイクのこと⇒布の絵本づくりのこと・・・とどんどん話はふくらんでい

きました。子どもたちにとっては、興味深い内容だったらしく、私の答えること一つ一つに

「エーッ」「すごい」歓声を上げて反応しインタビューが終わると、ある子どもから「先

生、答え上手!」とお褒めの言葉をいただきました。「先生がとても上手に聞いてくださっ

たので、リラックスして気持ちよく答えることができました。」と感想を述べました。短い

時間でしたが、楽しい時間を過ごすことができました。

図書館だよりでは「図書室でひろったちょっといい話」で、次のように紹介してみました。

図書室でひろったちょっといい話

■5年生はおしゃべりの達人ぞろい。でも、最近はインタビューの達人になるべく、頑張っ

ています。おしゃべりの達人とインタビューの達人に共通して必要なのが言葉の達人になる

ことです。読書大好きの5年生ですが、最近のお楽しみは、○○先生の『バッテリー』とい

う本の読み聞かせです。

■中学入学を目前にした6年生の春休み、自分の才能に絶大な自信を持つ天才ピッチャー巧

(たくみ)は、豪(ごう)と出会います。お互い正反対の性格の二人ですが、豪は、巧とバ

ッテリーを組むことを熱望します・・・大人もつい夢中で読んでしまうおもしろさで、第6

巻まであります。

■3、4年生の時にも『がまくんとかえるくんシリーズ』や長編『チョコレート工場の秘

密』などの読み聞かせしてもらっている5年生。読む、書く、聞く、話すことの上手な言葉

の達人になるために、これからも図書室の本を役立てていってください。

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ABOUT ME
かな
好きなこと:手仕事・読書・旅・映画   憧れる人:ターシャ・テューダー     一番欲しいもの:自分の時間