■英語では「現在」のことを「present」というのだと知りました。
「present」=「贈り物」=「現在」
「present」といえば「贈り物」ということしか思い出せなかったのですが、同じスペルで
現在という意味があるなんてビックリです。何も特別なこともない日常、当たり前のものと
して目の前にある現在が、「実は、私へのプレゼント」なのだと、そう教えてくれているよ
うなこの事実を知った時、自分の感謝のなさを恥ずかしく思いました。
人生は苦の連続?
■人生は苦の連続だといいます。確かに、私自身の55年の人生を振り返った時、喜びも沢
山ありましたが、苦しかったことも多かったなぁ、と思います。子どもの頃の辛かったこ
と、苦しかったことは、あまり思い出せないのですが、大人に近づくにつれて、悩み苦しみ
は多く、また深刻になっていきます。それは、私だけではなく、ほとんどの人がそうなので
はないでしょうか。
■高校生の頃は、片思いで悩んだり、苦手な理数系科目の成績不振で悩んだりしました。
■短大生の頃は、苦手なピアノが悩みの種でしたし、教員採用試験に不合格だったことは本
当に辛かったです。
■教員採用試験の受験勉強をしつつ、小学校や中学校で教壇に立つようになり、機械オンチ
だから車の免許は取らないと決めていたものの、必要に迫られて、自動車学校に通い始めま
した。でも、案の定、なかなかスムーズにいきませんでした。
■結婚生活は幸せだったものの、いつまでたっても子どもが出来ないことが、唯一最大の悩
みで、この長い長いトンネルを抜けるのには、本当に長い年月を費やしました。
■仕事やボランティア活動をする中での人間関係の悩みは、毎日のように繰り返されます。
■頼りにしていた主人の母が闘病の末、他界し、どこかで、親はいつまでも元気でいてくれ
るように思って暮らしてきましたが、そうではないのだと現実を突きつけられたような、覚
悟を促されているような気持ちになりました。最愛の母を亡くしながら、気丈な夫を偉いな
ぁと、感心しました。
■年齢を重ねると、年々、私自身の体力、気力の衰えや不調と比例して、夫も、それぞれの
親も・・・。
■55年という長い年月を振り返らなくても、この一年を振り返ってみても、昨日の一日を
振り返ってみても、悩みや苦しみとまでいかなくても、一瞬、困ったな・・・とか嫌だな・・・
と思うことは、日常茶飯事です。人生は苦の連続・・・うなずけますね。
「悩み・苦しみ」は、私にピッタリのプレゼント
■でも、この日常が、今この時(現在)が、プレゼントだというのです。誰から
の・・・? 神さまからなのか、仏さまからなのか、村上和雄さんがおっしゃる
Something Greatからなのかは分かりませんが・・・。
私のために、私の幸せのためにわざわざ準備された私にピッタリのプレゼント・・・? そ
の事が、年齢を重ねてみて初めて、そうなんだ・・・と思えるようになりました。この試練を
乗り越えれば、成長できるというプレゼントです。
まず「ありのままに見る」 次に「感謝して見る」
■「コップの水をどう見るか」というお話を聞いた時に、「はぁ~」と、目からウロコが落
ちる思いで聞かせて頂きました。人は、「コップに水が半分ある」という現実を見た時に、
「コップに水が半分もある」と肯定的に見る人、「コップに水が半分しかない」と否定的に
見る人、「誰かがコップに水を半分も残してくれてうれしい」と感謝で見る人に分かれるそ
うです。
■高校時代の片思いも今となっては、本当によい思い出です。誠実で素敵な人を好きになっ
たなぁと思いますし、相談のってくれる仲の良い友達がいたことも幸せでした。苦手教科で
赤点を取らないように必死になれたこと、理数系の得意な友達がいたことにも感謝です。
■短大時代のピアノの授業は、いつも劣等感でしたが、わざわざピアノを買って応援してく
れた両親には感謝です。ピアノの得意な友達や、優しいピアノ教室の先生のおかげで、下手
なりにバイエルから弾き始めて、ソナチネ、ソナタと弾けるようになりました。必死に練習
していたあの頃の自分を、今では褒めてあげたいと思います。
■教師になることが夢で、必死に頑張ったのに、一緒に教員採用試験を受験した2歳年上の
兄だけが合格しました。一日中泣いていましたが、そんな私を見て、家族はせつなかっただ
ろうなぁと、今となっては、申し訳ない気持ちです。今、思えば試験に落ちたのが兄でな
く、私でよかったと思います。合格していたら夫との出会いもありませんでしたし、今の幸
せもありませんでした。
■苦労した自動車学校での免許取得でしたが、頑張ってよかったと思います。厳しかった教
官も早く卒業させよう、事故を起こさないようにと、一生懸命だったのだと今となっては感
謝です。あの厳しい教官でなかったら、もっと時間もお金もかかっていたかもしれません。
おかげさまで、現在、車の手放せない毎日を送り、遠く離れた両親に孝行させてもらうこと
も出来ます。
■子どもが欲しかった10年余りは、私より後で結婚した友達や兄弟、いとこ達が、皆な親
になっていくのに、いつまでたっても子どもが出来なくて、1番辛い時期でした。主人や主
人の両親ともよい関係でしたので、「どうして私達だけ・・・」と劣等感で一杯でした。女と
して、妻として、嫁として、足りない者と見られているようで、人の集まりが苦手でした。
夫は「二人で十分幸せ、子どもまで出来たら、幸せすぎて他の人に申し訳ない。自分にとっ
て子どもはおまけみたいなもの。身内に子どものいない夫婦が他にいないので、うちに子ど
もがいないことで、バランスがとれる。子どもがいないのが他の兄弟でなくて、うちで良か
ったよ。」と言いました。
■私はその時の気分次第で、肯定したり否定したりするのですが、夫は、ありのままに見る
こと、肯定的に見ることの出来る人だったことが、私にとって何よりも有り難いことでし
た。振り返ってみると、いつも、辛いことや大変な事があると、よく話を聞いて、肯定的に
みて励ましてくれる夫でした。40代半ばを迎えた頃に、毎月きちんきちんと訪れる月のも
のが2週間以上遅れたときに、「もしかしたら妊娠したかもしれない」夫に言った時「この
年で親になったら大変かなぁ」という私に「かえって、のんびりおおらかに子育てが出来る
かもしれないよ」と言って励まし、受診して高齢のために不順になっていただけだったと伝
えた時も、「いい夢を見させてもらったよ」と言いました。
■まず、ありのままを見る、そして肯定的に受けとる、出来れば感謝で見る努力をす
る・・・人生は苦の連続だけど、ちょっと心を切り替えることが出来れば、状態は変わらな
くても、心が軽くなる、いつの間にか、その苦しさ、辛さの向こうにある大きな幸せが見え
てきます。
その幸せって何だろう・・・、辛い経験は、その人の思いやりや優しさになってその人の
人柄をつくっていくのではのではないでしょうか。
苦しい時、辛い時には誰かに聞いてもらいたいものです。この人にだったら聞いてもらい
たいと思える人が、回りにいれば安心です。また、もし、自分がそんな人になれるなら、ど
んなに幸せでしょう。
■自分の辛い経験が、自分を成長させてくれ、さらに、人の役にも立てる・・・人生は苦の連
続・・・ということは、成長し続けることが出来るということなんですね。ありのままに見
る、肯定的に見る、感謝して見る・・・そんな見方を身につけられたら、いつでも、どんなこ
とが起きても、今をプレゼントと受けとめて、穏やかでいられるのかもしれません。