物語の仕組みから発問作りを!
1)物語の仕組みを
■教科書掲載の物語は、実によくできていますよね。例えば、「お手紙」です。
多くの先生が、この教材を「簡単じゃん!」と、額面通りに受け取って、スラーっと授業していかれます。
これだったら、保護者でもできます。
我々は、「教員免許証」を持った「プロ」です。だとしたら、まずは、この物語のミソを掴まないといけません。その一部をこれから紹介しますが、その前に、物語単元のセオリーを確認していきます。
■3間(時間ー空間ー人間)の確定を行います。
【発問】いつの話ですか、あるだけリストアップしなさい。
・「一日のうちの かなしいとき」(P117L2)
・「お手紙をまつ時間」(P117L3)
・「毎日」(P118L6) ・「お手紙をまっているとき」(P118L7)
・「お昼ね」(P120L10) ・「大いそぎ」(P119L3)
・「すぐ」(P120L7)
・「まってみたら」(P121L3,6) ・「今日」(P123L6)
・「お手紙がくるのをまつ」(P126L1)
・「長いこと」(P126L4) ・「四日たって」(P126L5)
Pとは、東京書籍「1年下」のページ数です。Lは行数です。
こうやって、まずは、言葉に集中させましょう。
「すぐ」とか「まつ」、「大いそぎ」まで、時間に入れるのかという話になるかと思いますが、これらの言葉は一応、時間が関係してきますよね。
そしてそして、もっとも大事なことは、物語の仕組みと関係しているからなのです。それはなにかというと、
| がまくん | (ベッドで)お昼ね→心配しているのに、呑気 |
|---|---|
| かえるくん | 大いそぎ (とび出しました)→二人でまつ |
| かたつむりくん | すぐ やるぜ →(四日かかった) |
アンバランスですよね。がまくんなんて、手紙がこないことをかなり心配しているのに、「ベッド」で「お昼ね」なのですから。
物語の人物の面白さです。アンバランスだけに、物語が面白いのです。
この仕組みを見逃さないようにしなければいけませんよね。三人とも、アンバランスですよね。
三者三様であるところが、この物語のミソなわけです。よく練られていることが読み取れます。
2)三間から場面分けへ
■引き続き、空間(場所)を問います。
【発問】どこでのお話ですか。物語の語られた場所を特定しなさい。
すると、こんな場所がリストアップされるでしょう。
・がまくんの家、玄関 ・かえるくんの家 ・その両者の道すがら(この記述はなし)
■最後に、登場人物、人間を問います。
【発問】誰が出てきましたか。出てきた人をあげなさい。
3人が登場します。ここで終わってはいけないわけです(後述)。
■3間を押さえたら、ここから場面分けへと進展させていきます。
「場面」という位ですから、場所が大きなウェートを占めますが、内容によって、場所中心だったら、人物中心だったり、時間中心だったり、あるいはその総合だったりします。
ここでは、次のような指示を出します。
【指示】この物語を5つの場面に分けるとしたら、最初はどこまでにしますか。場所から考えてみてください。
そうすると、冒頭はがまくんの家ですが、かえるくんが帰っていくシーンがありますので、ここで「切れる」ということになりますよね。
いつも、山本五十六氏の言葉を思い出してみてください。つまり、
やってみせ、言ってきかせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ
まずは、してみせることです。そうしたら、子どもたちは「そうやるのね!」と、次の場面わけに挑戦していくことでしょう。
ここで重要なのは、場面の数を確定してやることです。この数の確定がなければ、大人でさえ、難しいですよね。しかも、同じ「基準」が出来上がりません。
結果論からいうと、私はこんな風に分けました。
| 第1場面 | がまくんの家の玄関 |
|---|---|
| 第2場面 | かえるくんの家からかたつむりへの頼み事まで |
| 第3場面 | がまくんの家 |
| 第4場面 | がまくんの家の玄関 |
| 第5場面 | 四日たったとき |
3)主役VS対役
■登場人物のリストアップだけでは、話になりません。桃太郎VS鬼、ウルトラマンVS怪獣、仮面ライダーVSショッカー怪人等々、こんな相手がいないことには話は進まないし、物語になりませんよね。
そこで、問います。
【発問】主役(対役)はだれですか、そう考えた理由もノートに書きなさい。
ここで、方法論を与えないといけません。
| 題名から | 題名に個人名が出ていたら、その人が主役(「ちいちゃんのかげおくり」では「ちいちゃん」、「スイミー」ではスイミーとなります) |
|---|---|
| 登場回数 | 「きみ」、「ぼく」を含めると、かたつむり=7回、がまくん=36回、かえるくん=27回)となり、主役は「がまくん」に決定 |
| 話者は誰に入っているか | 作者は書いた人、話者は話を語っている人、この話者が入っている人物が主役(なお、ごんぎつねは主役はごんですが、後半は話者=物語を語る人が交互に2人にはいっていくから面白いです) |
| 使役の動詞 | 文末表現で「~させた」「~された」とかから判断する |
| その他 | ケースバイケース |
これで考えると、こうなります。
| 主役 | がまくん |
|---|---|
| 対役 | かえるくん |
| 脇役 | かたつむりくん |
| 端役 | 今回はなし(道行く通りすがりの人たちです。「ごんぎつね」で言えば、兵十のおっかあの葬式シーンでの「葬列」の人々とかですね。 |
4)ここからが本題!
■ここからは、その物語特有の発問となっていきます。物語を面白くしていくもいかないも、次の発問群にかかってきます。
よく言われるのは、100の発問を作ろう(比喩)ということです。例えばをあげます。
【発問群】
◯「ばからしいこと」(P123L3)とは何のことですか。あるだけ抜き出しなさい。
◯なぜ、「二人ともかなしい気分」(P118L9)なのですか。
◯かえるくんは、なぜ自分で手紙をわたさず、かたつむりくんに託したのでしょうか。
◯なぜ時間のかかるかたつむりくんに、手紙を託したのでしょうか。
◯この2人がどれだけ「親友」かというところがわかるのは、どの部分ですか。
自由意見は構わないのですが、道徳科とは違って、国語科は次のことが「超」重要です。
「根拠を示せ」ということです。→→「証拠を探せ!」
「◯ページ◯行目の~~~」という表現から、「ーーーーーー」と考えました!というような意見を出させて、二択にして、討論させるといいですね。
5)最後は主題へ!
■物語教材では、最後に必ず、作者はこの作品で、読者に何を伝えたいのかということを問う必要がありますね。
しかし、いきなりこれを問うと、つまずいてしまうかもしれません。今回でいうなら、次のような発問はいかがでしょうか。
【発問】「お手紙」で作者は皆さんに何を伝えたかったのか、「お◯◯」と言い換えてみましょう。◯◯には、漢字2文字、ひらがなだと4文字入ります。さあ、皆さんならどんな言葉を入れますか。
「お友達」というのが出てくるといいですね。この言葉は、この作品で何度も出てくる言葉でもありますよね。
そして、問い直しましょう。
【発問】作者は、この作品で何を伝えたかったのか、つまり「主題」は何でしょうか。文章でまとめなさい。
例えば、こんな文章があるといいのではないでしょうか。
・一緒に、気長に話せるお友達を作りましょう
・人のことを思ってくれる友達を作りましょう
・いい友達を持てば、幸せになれますよ
多分、これから3年生に進むであろう季節、最後にいい友達を作って進級しようねという教科書会社のメッセージかもしれませんね。
6)物語の深読みをこそ!
■物語の仕組みを解読し、それを発問を通して、子どもたちに解読させていくこと、こんな物語指導を考えていきたいものですね。
この発問で、子どもたちは何と答えてくるだろう!
という楽しみ、ワクワク感を持って、授業に臨むことが大切ですね。