小学6年国語「海の命」授業づくり
1)まずは設定
■3間は次の通りです。まずは、リストアップから始めます。
| いつ(時間) | どこで(空間) | 誰が(人間) |
| ・不漁10日間 ・ある日 ・夕方 ・引き潮 ・中学校を卒業する年の夏 ・毎日 ・何年も経った ・真夏のある日 ・夜 ・一年 ・季節 ・時間 ・永遠 ・母→おばあさん ・生がい |
・海 ・瀬 ・岩陰 ・父の船 ・水中・海中 ・甲板 ・船全体 ・村 ・与吉じいさの家 ・父の海 ・岩のあな ・海草のゆれる穴のおく |
・クエ=瀬の主 ・仲間の漁師 ・父 ・祖父 ・祖先 ・与吉じいさ ・母 ・村の娘 ・子供4人(男女2人) ・太一 |
■主役が誰で、対役が誰かということを確定していく必要があります。多分、大勢が主役は太一で、対役はクエというのかなと思います。複数出た場合は、討論していくといいかと思います。
クエは大きな魚ですので、図鑑とかネットで紹介してみるといいかと思います。大きいのになると、軽く人間の身長を超えてしまいます。
2)各人物の性格を読み取る
■次の発問で、全員を読み取っていきます。
【発問】おとうはどんな人ですか。(太一、与吉じいさ、母、)
子どもの思いではなくして、教科書の文面からあぶり出していくことが肝要です。
| 太一 | おとう | 与吉じいさ | クエ |
| ・季節・時間で変わる海の表情が好き ・漁師になりたい ・与吉じいさの弟子 ・村一番の漁師となる ・屈強な若者 ・逞しい背中に母の悲しみを背負う ・この魚をトラねば一人前の漁師になれない ・もりの刃先をかえクエに笑顔を作った ・大魚はこの海のいのちと考え殺さなかった |
・もぐり漁師 ・岩陰に潜むクエをつく ・自慢せず、海のめぐみという ・水中で事切れた |
・毎日一本づりに行く漁師 ・イワシでタイをつる ・千匹に一匹とれば海で生きていける ・海に帰っていった |
・光る緑色の目 ・もりがささっているが全く動かない瀬の主 ・岩のような魚 ・青い宝石の目 ・黒い真珠のような瞳 ・刃物のような歯が並び大きい灰色の唇 ・えらで水が動く ・150キロ超え ・穏やかな目 |
3)物語の中心に迫っていく発問群
■最初は簡単な発問から入りたいものです。いきなり芯をついてはいけないということです。例えば、こんな発問から。
【発問】作者はクエを別の3つの言葉で表現しています。それは何ですか、ノートに書きなさい。
「大魚」「瀬の主」「まぼろしの魚」
【発問】与吉じいさの言葉が太一に伝わっています。それは、どんな言葉でしたか。
「千びきに一ぴきでいいんだ。千びきいるうち一ぴきをつれば、ずっとこの海でいきていけるよ」
【発問】この与吉じいさの言葉が太一の頭に残っていったのですが、このことを漢字二文字で何といいますか。
教科書から抜き出すが至上命題です。「共鳴」です。
この物語は、父が自慢せず「海の恵み」という考え方、与吉じいさの「少欲知足」(千匹に一匹)の考え方が、後継ぎの太一に「共鳴」している物語です。
【発問】父親と与吉じいさが共鳴しているところは、どんなところですか。
考え方は、上にも書いたので、ここでは、どんなところが似ているかというのを問うています。
答えは、父親はもり一本の潜り漁師、与吉じいさは一本つりであって、両方とも「網」を使っていないということです。これで、大量にとることは、もともと不可能なわけです。
ちなみに、私が一本釣りで釣り上げた、スズキの幼少期、セイゴとアジです。
私が釣り上げたセイゴとアジ
天草大浦漁港での一本釣りそれでは、本丸を攻めていきましょう。
【発問】後半、クエと太一のシーンで、クエの様子を漢字一字で表すとするなら、どんな漢字を選びますか。当然、教科書内からです。
何でしょうか、正解は「静」です(「冷静」という表現があります)。クエは逃げる、戦うということを一切しません。
【発問】では、太一の様子を漢字一字で表すと?
「静」が分かっているなら「動」がすぐ出てくるでしょう。
【発問】クライマックスはどこですか。その文章を抜き書きしなさい。
これは、「大造じいさんとガン」と同じパターンです。
「大造じいさんは、ぐっと、じゅうをかたに当てて、残雪をねらいました。が、何と思ったか、また、じゅうを下ろしてしまいました。」
「海の命」では、このシーンです。
「水の中で太一はふっとほほえみ、口から銀のあぶくを出した。もりの刃先を足の方にどけ、クエに向かってもう一度えがおを作った。
大造じいさんも太一も、銃の向きを変えた、つまり心が変わったというわけですね。
両者に言えることですが、次の発問です。
【発問】なぜ、刃先の向きを変え、クエを殺さなかったのですか。
いろいろな意見が出ることでしょう。例えば、
・「大魚はこの海のいのちだと思えた」から。
・「この大魚は自分に殺されたがっている」と、初めての気持ちになったから。
・「鼻づらに向かってもりをつき出すのだが、クエは動こうとはしな」かったから。
・クエに父を見たから。
クエは「全く動こうとはせずに太一を見て」、その目は「おだやかな目」だった、つまり、相手は「丸腰」なのですよね。そんな相手を村一番の漁師が手にかけるわけがありませんよね。
「おだやかな目」に父を見たわけですね。クエは「おとう」の生まれ変わりだったのかもしれません。
最後の問いです。
【発問】もりをクエに打たなかったことを、生涯、誰にも話さなかったのはなぜでしょうか。
【発問】海の命とは、何なのでしょうか。
ご自分でお考えください。恥だからではないでしょう、きっと。水俣のことを考えると、「海の命は人の命」なのかもしれませんね。
4)他の作品に当たる!
■立松和平氏の他の作品として、「山の命」がありますね。もう亡くなられているのですが、息子さんが横松心平氏といいまして、同じく作家ですので、参考までに!
何でもそうですが、レオ・レオニさん、宮沢賢治、椋鳩十氏などなど、関連書物を読んでみるのが一番かもしれません!