1)主役は誰?

■物語の設定(時間・空間・人間)を考えた後は、主役と対役を決定しましょう。

【発問】主役はどちらですか。1人選んで、そう考えた理由をノートに書きなさい。

これで、論争になるのではないでしょうか。文系教科なので、本時で決着つける必要もないですよね。「明日、聞くので、よーく考えてきてね!」

・おにの子  VS  ・ワニのおじいさん

ちなみに、出てきた回数からいうと、私が数えたところによると、鬼は15回、ワニは17回です。拮抗しています。

題名は、「ワニのおじいさんのたから物」です。しかし、話者は空中に浮かんでいますが、第1場面は鬼で進み、第2場面はワニで進み、では、第3場面は・・・という感じで進んでいきますので、このようなところを討論の材料としてみるといいですね。

ちなみに、ワニの甲羅を紹介しておきました(表紙画面)。

2)単元学習は辛い!

■教科書会社の「指導書」準拠で進む学習を「単元学習」と呼びます。

これでいくとなると、人物の行動を、ノートを2つに分けて、物語の進行をその都度、追っていくことになります。この手のパターンは、板書量が多く、子どもたちのノートもしくは学習シートに書く量が多く、かなり長文でこれを写せ!となると、子どもは大変でしょう。

子どもの立場に立って考えてみる

ということが大事です。

3)発問で物語を解釈!

■では、どうするか、100の発問作りを前から提唱していますが、発問で内容を解釈していきましょう。これで、考える力、対話する力が身につくかと思われます。

【発問】(主役を問う前に)この2人の登場人物の名前を見て、何か、気付いたことはありませんか。(面白いことに気づきませんか)

2人は対比されていますよね。ここが作者のうまい設定ですよね。オニとワニの音数、オニは子ども、ワニは年寄り、こんな作者の「にくい」設定にも気づかせたいですね。

オーソドックスな発問としては、これです。

【発問】この2人は、どんな「人」ですか。ノートにこのように書きなさい。
ワニ→~~~~~なワニ   おに→~~~~~~なおに

人ではないですが、登場人物は、喋ったり考えたりすれば、すべて「人」として扱うことも言及しておきます。低学年の時も言われているでしょうが(「おおきなかぶ」とか)。

・帽子をかぶったおに(これが後半の伏線につながっています。「思わず、おにの子はぼうしをとりました」→角が見えてくる→これを最初から見せていたら、ワニは宝物の場所を教えていたでしょうか→こんな発問も考えられます)
・水際で眠っているワニ
「帽子をかぶった鬼」を言い換えると、「角を隠した鬼」かもしれませんね。鬼の生きる術?

■順不同ですが、次のような発問も考えられますよ。

【発問】季節はいつですか。春夏秋冬(この用語も教えましょう)から1つ選び、選んだ理由を書きなさい。

発問+指示が重要ですね。正解は「秋」か「冬」、理由は

「ヘビもカエルも、土の中にもぐりました」
「カラスが、寒そうに・・・」
「地面に落ちているホオノキの大きな葉っぱを拾っては」などです。

全てをリストアップできるかがポイントです。そうすれば「よく読む」ようになります。指導書の逐一、行動を追っていくというやり方は、ノートをとる子どもにとっては辛いものがあります。

むしろ、言葉を発見してリストアップするノートとりは、疲れがたまりません。

主体的だからです。

■オーソドックス的発問としては、例えば、「なぜ、おにの子は、ワニは死んだと思ったのですか。」などがありますが、これ以外に知的な発問をいくつか紹介しておきます。

【発問】鬼は、ワニを尊敬していますか。どこでそれがわかりますか。ノートに尊敬している、していない、と書き、理由を書きなさい。

「尊敬」という言葉が難しければ、「大事にしているか」と問うていきましょう。
すると、文末表現に気づくかと思います。

・「~~~死んでおいでかと思ったのです」

国語科では、「敬語」を学ぶので一石二鳥です。リスペクトしています。だから、ワニは宝物のありかを教えたとも考えられます。

■究極の発問は、これです。

【発問】なぜ、ワニは鬼に宝物のありかを教えたのでしょうか。

・ホオノハで体を覆ってくれたから  ・敬語を使って会話をしたから。
・鬼が宝物というのを知らなかったから  ・鬼の子と知らなかったから
・渡してしまえば、心おきなくあの世へ行けると考えたから

この物語の面白いところは、「桃太郎」の続編的位置にあることですよね。桃太郎が鬼から宝物を奪っていったという、だから鬼の子は宝物を知らないという設定ですよね。そこで問います。

【発問】この桃太郎の話と関係するところがもう1つあります。それはどこですか。教科書にラインを引いて、持ってきなさい。

次の箇所に引けたらOKです。

「谷川にそって上り」「川岸を歩いていて」

これらは、おばあさんが桃を拾った箇所かもしれませんよね。原点回帰というか、「犯人は元の場所に帰ってくる」、つまり鬼の憎き敵、桃太郎の拾われた箇所なわけですよね。考えすぎでしょうか。

■そして、単元末に問います。

【発問】最後の、「その立っている足もとに、たから物を入れたはこがうまっているのを、おにの子は知りません」とありますが、おにの子は、これに気づいたでしょうか、気づかなかったでしょうか。続きを自由に想像して、物語を完成させましょう。

というのもありでしょうか。

4)粗筋指導

■ところで、あらすじの指導の仕方ですが、

粗筋は、3間(時間、空間、人間)に重要な述語を加えればいいかと思います。

よって、この3間をおさえ、重要な述語を選択するということになるかと思いますが、第1場面は一緒にやっていくことが大事かと思います。やり方を指南するということですね。
そこで、第1場面は、こうなります。

寒そうな、とある天気のいい日(時間)に、川岸(空間)でねむっているワニに出会った(第1述語)おにの子(人間)は、ワニの体に大きな葉っぱをつみ上げていった(第2述語)。

なるべく短くまとめるというのがポイントですね。述語に対しては、説明文と違い、粗筋なので、2,3必要かなと思います。

ただ、一文位でまとめるのがいいのかなとは思います。一文にまとめると、大きな述語は「つみあげた」にはなりますが。「出会った」は修飾語としていますが、ここでは「出会い」がないと、話が進まないので!!

述語をどう選ぶかですが、次へとつながるものが重要ですね。葉っぱを積み上げたから、宝を教えるという行為につながったと考えると、重要ですね。

単元突入前に、発問を100作るぞと思って教材研究に臨んでみてください。

すると、授業が変わります。ノート取りが辛いと、そっぽを向かれます。そうならないためには、発見の妙味があるかです。100つくっておいて、実際には20位しか使わないかもしれませんが、そのこと自体が、教師の腕を高めてくれます。

5)その他の「桃太郎」!

■桃太郎が出てきたので、教材としての紹介、あるいは教師の知識としての深まりという意味で紹介しておきます。

1)芥川竜之介の『桃太郎』

■これは一度読んでおくと、次回、どこかで(図書の時間とか)紹介できる、楽しい話です。

こんな話です。冒頭はほぼ一緒、中身がまるっきり違いますよ。

桃太郎、おじいさんやおばあさんのような生活には、飽き飽きしていて、怠惰な日々を送っていました。2人もどうしようもない桃太郎に困り果てていました。
そんな時、鬼が出ているという話が舞い込んで、2人は桃太郎を鬼退治に出します。桃太郎、おばあさんに3匹の餌(黍団子)を作らせます。・・・・・3匹はお互いに貶し合いを始、・・・・・・

続きは読んでみてください。アマゾンプライムのキンドルで、無料で読めますよ。ショートストーリーです。

2)違う視点で!

■次に、CM大賞というか、そんなものをとった1面広告を紹介します。この新聞を使って、視点の転換を子供たちに図っていくことも可能ですよね。キャッチコピーはこうでした。

「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました。」

掲示された瞬間に、子供たちから笑いが生まれていました。見方を変えると、違った発見が見えてくるものですね。

これは、2013年の朝日新聞の広告です。私も当時、人権教育に使っていたことでした。物事には2面性があるということです。いじめられた側に立って、言われた側に立って、考えてみるということですね。
こんなのを持っておくと、一生の宝物教材になるでしょう。