小学3年国語「サーカスのライオン」の授業つくり
1)設定(3間)
■物語の授業は、まずは設定の検討からです。<3間(いつ=時間、どこで=空間、誰が=人間)の設定>
【発問1】誰が出てきましたか。
【発問1.5】主役は誰ですか。
じんざなのか、男の子なのかということです。これは、どの物語でも問うていくことが重要です。討論させると、例えば、次のような意見がでるかもしれません。
じんざ出てきた回数を数えるのもいいのですが、次のような一文にも注目させたいものです。
P136L9「じんざは男の子の手を引いて、家まで送っていくことにした。」
もし、男の子が主役だったら、こうなります。
「男の子はじんざに手を引かれて、家まで送ってもらった。」
文末の表現とかに注意させていくといいかもしれません。これは、「ごんぎつね」でもそうですよね。後半部分では、話者が頻繁に入れ替わりますから。
【発問2】どこでの話ですか。
【発問3】いつの話ですか。
これらは、場面ごとにやってもいいですね。特に、時間が場面を分けるポイントになることが超多いです。
【発問4】今回は、時間に気をつけて、この物語を5場面に分けます。どこで分ければいいですか。教科書に4本の|を入れなさい。
私は線を引かせていましたが、細い付箋紙がありますので、それを使ってするというのも手ですね。なぜなら、消さなくて、貼り直せばすむからです。
2)第一場面
【発問5】じんざは、どんなライオンですか。教科書から抜き出しなさい。
「年取っていた」「一日中ねむっていた」・・・・・
書けていない子や間違えていた子には、赤ペンで書かせてください。
【発問6】こんなじんざですが、相反する行動をとっているところがあります。それはどこですか。
P134L3「おじさんがよそ見しているのに、じんざは三回、四回とくり返していた。」
3)第二場面
【発問7】じんざは、「外はいいなあ」とつぶやきますが、それはなぜですか。
正解は、P133L2「ねむっているときは、いつもアフリカのゆめを見た。ゆめの中に、お父さんやお母さんや兄さんたちがあらわれた。草原の中を、じんざは風のように走っていた」からです。文章の前後では、答えが出ないような発問を考えることが「免許の証」です。
こんなのが読み取れると、いいですね。
【発問8】この第二場面を2つに分けるとすれば、どこでわけますか。|を一本引きなさい。
答えがばらけるでしょうから、討論します。
この「外はいいな。・・・」のセリフの後で分けます。つまり、前半はサーカスのおじさんVSじんざだが、後半はじんざVS男の子と、人物配置が違うからという理由が述べられれば決まりです。
前半はじんざvsサーカスのおじさん、後半はじんざvs男の子となっています。つまり、P135L4に「ひとり言を言っていると・・・」で切れるわけです。そこで、この2つ場面で、考えさせる発問をします。意見が割れる時は、これまた討論させればいいと思います。登場人物の確認をすればいいですね。
【発問9】じんざと男の子は似ていますか、似ていませんか。どちらか一つを選べ、理由を述べなさい。
答えは「似ている」です。理由は、じんざはアフリカの家族と離れてサーカス小屋のおりで1人暮らし、男の子は父が夜の務めで留守、母は入院で姉は付き添い、つまり、男の子は1人で留守番です。つまり、似た者同士という設定なわけです。
だから、気が合ったのでしょう。こんなことを文章の中から抜き出していくことが、国語の醍醐味です。
【発問10】この2人は、とても仲が良く見えますね。それはどんなところからわかりますか。
【発問11】男の子は、おじさんはじんざだと知っていたのでしょうか。どちらかを選んで、それを選んだ理由をノートに書きなさい。
まだ、この時点では気づいていない。「おじさん、あしたライオン見に行っていい?」と聞いているから。
4)第三場面
【発問12】じんざと男の子が別れることになりました。それがわかる場所が2つあります。それはどこでしょうか。教科書に2つのラインを引いてもってきなさい。
もってきても、「なるほど」と頷くだけです。多くの教科で正誤を判定してしまうと、正解の子供たちはそれ以上、考えようとしません。だからこのセリフがいいです。
答えの1つはP139L9「サーカスがあしたで終わるという日」、もう1つに気づけるかが重要です(「夜の散歩もしばらくはできそうもない」も候補に上がってくるかも)。
P139L11「お母さん金、もうじき、たい院するんだよ。」です。これは、境遇が違ってくるということです。じんざは相変わらず一人ぼっちだが、男の子は家族がそろってくるということです。だから、袂を分けてくるということになります。
■なお、子どもの意見を板書していきましょう。そして、おかしいものをカットしていくようにすると、いいです。思考の跡がわかるからです。
なるべく教師が答えを言わずに、子ども同士で「対話」を通しながら、確認していけるといいですね。
【発問13】じんざの気持ちがわかるところが10箇所あります。まずは、3箇所見つけてラインを引いて持ってきなさい。
5)第四場面と第五場面
【発問14】事件が発生します。どんな事件ですか。
物語では、事件と伏線を確認します。これを必ず押さえていきます。
P140L5「その夜ふけ・・・。だしぬけに、サイレンが鳴りだした。火事だ。」 これって、伏線にもなります。
【発問15】じんざは、何色から何色に変化しましたか。
【発問16】金色は何を意味しているのでしょうか。
勇気・命・優しさ=思いやり・栄光(金メダル)・・・・・子供たちに「鑑賞」させましょう。これが象徴たる「サーカスのライオン」につながっていくのではないでしょうか。
【発問17】なぜ、じんざは「ライオン」、男の子は「子ども」と変化したのでしょうか。
見る視点の変化でしょうか。上から話者が見ている?
【発問18】じんざは、生きていますか、死んでしまいましたか。どちらか1つを選んで、そう考えた理由をノートに書きなさい。
討論ができます。次のような表を黒板に書いて、意見の整理をしていくといいですね。やり方は、別のページをご覧ください。
討論物理的には死んでいますが、P145L4
「五つの火の輪はめらめらともえていた。だが、くぐりぬけるライオンのすがたはなかった。それでも、お客は一生けん命に手をたたいた。」から、客の心で生きていると言えます。
こんな意見が出てくると、じんざも浮かばれますよね。
【発問19】どうして、三つや四つではなくして、五つだったのでしょうか。その伏線があります。それはどこですか。
P140L3「・・・ようし、あした、わしはわかいときのように、火の輪を五つにしてくぐりぬけてやろう。」という箇所です。
だから、発問17の話者とつながってきます。話者が空中にいて、そのじんざの考えを見抜いていたので、「五つの輪」になったのだと考えられます。
「ぴかぴかにかがやくじんざ」と「めらめらともえ」る五つの火の輪は同じと考えられないでしょうか。五輪(オリンピック)と五つの輪は、関連しているのかもしれません。「金色」(金メダル)とも。
【発問20】じんざは、幸せですか、不幸せですか。また、その理由は何ですか。
アンハッピーエンドの物語は、この発問を最後に持ってくると、ばっちりです。例えば、
たちも意見の整理が把握しやすいかと思います。この発問だと、上に「幸せ」、下に「不幸せ」とやればいいかと思います。
■そして、反論させる時は、上のような矢印を書いて、記入していくといいかと思います。意見は、1行空けて書いておくと、反論などの意見が書きやすいかと思います。
もう1つの発問を追加します。
【発問21】別れの予感がする、あるいはわかる部分が2つあります。それはどこですか、ラインを引きなさい。
1つ目は単刀直入で、P139L9「いよいよ、サーカスがあしたで終わるという日」です。もう1つはその続きで、「お母さんがね、もうじき、たい院するんだよ。・・・」ここで、じんざとの境遇が違ってきますね。一人ぼっち同士から、男の子は脱退?するわけですね。同一境遇で仲良くなったのですが、母親が帰ってきたらお姉さんも帰ってくるということで、サーカスにもいけなくなるというわけです。
ちなみに、このじんざですが、「神座」を作者は意識したのでは?とも思ったことでしたが、深読みしすぎでしょうか。男の子を助けたので、神の座についたのだということです。