1)朗読教材でも、やはり読解力

■理由は簡単です。読解できなければ、朗読には繁栄されないからです。だからこそ、物語教材をしっかりと解読していく必要性があるわけです。読んでおけばそれでいいということになりませんん。

だからか、教科書(東京書籍)の本文の後、「学習の手引」に、物語の解読手順が紹介してあります。例えば、こんな風に。

1) 中心人物の人物像(時・場所・人物の性格や心情をまとめよう、「私」が「寒い心持ちになるのは何故?」
2) 人物同士の関わりと、心情の変化について(「私」はどう変化したのか・・・、「さなぎ」とは何か、心情と情景描写について)
3) 心情の変化が伝わるように、朗読しよう(強弱、速さ、間のとり方)

つまり、教科書が言いたいことはこうです。深い対話、読解こそが朗読につながる、と。

2)物語教材の最初の一歩

■まずは、教師による範読→初発の感想→三間(時間・空間・人間の設定)を問うた後です。

いつも、紹介するのは、「桃太郎」です。「むかしむかし(時間)、あるところに(空間)、おじいさんとおばあさん(人間)が住んでいました。・・・・」

この事例を出してからスタートしていきます。以下は、場面ごとに、発問と予想される子どもたちの意見を書いていきます。場面分けをした後からのことです。

3)内容解釈ー発問研究

<第1場面>

【発問0】あなたが選ぶ、きれいな文章は何ですか。あなたの選んだ文章を抜き出し、その理由を書きなさい。

・「すうすうと寒いような心持ちになる」(すうすう=オノマトペ、気持ちではなく心持ちと表現)
・「見晴らしは最高。」(体言止め)
・「春の空はミントキャンディみたいな水色だ。」(比喩)
・「窓の外を一枚の花びらがまい、」(擬人法)

■このように、今回の教材は今風の表現がされている作品だなーと思ったことでした。いわゆる「古典」(過去の教科書)から脱出している教科書会社の工夫(安東氏の書き下ろし)が読み取れました。

【発問1】「友達はいるのになぜかだれもいないような気がしたり、みんなのそばにいるはずなのに遠くはなれている気がしたり。」が伏線となっている箇所はどこですか。

・P22L8「谷さん、ペアになってくれないかな。」
・P24L8「おかしなことを言う人だと敬遠されるかもしれない。けれど、高月さんはちゃんと応じてくれた。」
・P25L12「あのころ、みんなが自分とちがう人間に見えてとてもこわかった。・・・みんなだって自分とそんなにちがわない人間なのだと分かったから。」

他にもあるかもしれません。これらを指摘させることで、表現の妙味、物語の構成、ひいては朗読へと進んでいくのではないでしょうか。本当は、次のように問いたいところです。

【発問1-1】「みんなだって自分とそんなにちがわない人間なのだと分かったから。」の伏線はどこですか。

<第2場面>

【発問2】この場面に、作者の一番言いたいことが隠されています。それはどこで、なぜそう思ったのですか。ノートに全文を書き写し、理由を書きなさい。

これは2派に分かれるかもしれません。
A「馬には乗ってみよ、人にはそうてみよ、虫は・・・・」(挑戦することが大事なのでは?)
B「さなぎの中ではものすごい変革が行われるんだよ。自分を一度全部ぶっこわして作りかえちゃうみたいな。」(自分を変えることが重要では?)

同じことなのでしょうが。Aに関しては、「どんなことだろう」と問うてもいいかも。

【発問3】わたしは、「幼虫のままでいては、いけないのかな」と思っています。みなさんはどう思いますか。「幼虫のままでいい」か、「いけないか」をノートに書き、理由を書きなさい。

人それぞれかもしれません。しかし、ここは「さなぎたちの教室」という題名ですから、正解は「いけない」になるのかなと思います。ずっと家にいたい、一人でいたい、いやいや安全圏を飛び出して、空に飛び出そうというようなことを言っていると思われます。

【発問4】松田君は幼虫たちに「いつか空を飛ぶんだもんな。がんばれよな。」とは、実は誰に言っているのでしょうか。

実は幼虫に言っているようで、「わたし」は自分に言われていると思っているのかもしれませんよね。あるいは、本人(松田君)自身かもしれません。

<第3場面>

【発問5】この場面では、第2場面で登場した「さなぎ」を別の表現で表しています。2つ抜き出しなさい。

1つは「まく」、もう1つは「シールド」です。

【発問5-1】「水=なみだのまく」のことを、わたしは何と思っていますか。ノートに抜き出しなさい。

「世界と自分の間に透明なまくがあり、それはわたしの全部をやさしく包んでくれている。そう考えると、何だか安心できるのだ。」

【発問5-2】「シールド」のことを、高月さんは何と言っていますか。

「敵から守ってくれるやつ。こうげきされてもダメージをあまり受けないの。ただ、こっちも動きづらくなるのが欠点でーー。」

【発問6】わたしにとって、まくやシールドを外してくれたのは、だれのどんな行動でしたか。また、それは何故ですか。

高月さんのランドセルひっくり返し事件だったということですね。

【発問7】わたしは、どう変わったのですか。最初はこうだったけど、この事件でこうなったと、ノートにまとめなさい。

最初は「みんなが自分とちがう人間に見えてこわかった」けど、この事件がきっかけで、「みんなだって自分とそんなにちがわない人間なのだと分かった」

<第4場面>

■本当は、場面を問わずに、次のことを問いたいです。

【発問8】クライマックスはどこですか。クライマックスとは、主役「わたし」が180°、かわるところです。その文章を抜き出しなさい。

本当なら、上の発問7のところで「変わっている」はずですよね。でも、そうではなかったのです。なぜなら、伝えていないからです。伝えてなんぼなわけです。

「覚えているよ。忘れてないよっ。」

ここで決まりですね。前後に、次のような文章があります。

(前)「ちゃんと伝えなくちゃ。わたしは空気を胸いっぱいに吸いこんで、呼びかけた。」
(後)「思いがけない大きな声が出てしまった。辺りの人たちがびっくりした顔で、いっせいにこちらをふり返った。」

<第5場面>

【発問9】なぜ、松田君はちょうを放す一番手に、わたしを選んだのでしょうか。これは鑑賞になるかと思えます。

・一緒に生き物係として、嫌いな虫を世話してくれたから。
・全部ぶっこわして、自分を作り変えてほしかったから。

【発問10】わたしの心情を代弁しているものは、何ですか。

「小さなつむじ風」が2回登場します。「まるで透明な人がおどっているみたい」な心情なのでしょう。

・「いすにすわるのは一人」「窓の外を一枚の花びらがまい、」

・「差しこんだ光で、二つのほおがぴかぴか丸く光っていた。」

・「谷さんが一番に空に放していいよ。」
「つむじ風のなごりか、花びらが一枚、空にまっていた。」(独立できた!)

数値が人間関係を表していますよね。

4)国語科はジグソーパズルだ!!

■国語科はジクソーパズルだ! どのピースを取り上げ、どう思考していくかのゲームです?