「模型のまち」(東書6年国語科)に白黒ポテチ
1)「模型のまち」(小学6年国語科:東京書籍)
■「表現に着目して読み、考えたことを伝え合おう」という目標の物語があります。
一言でいうと、今風の作品でしょうか。ここには、宮沢賢治などの作品は登場しません。全て最近、現代の物語文です。時代は変わりました。
さて、この作品で何かモノを使うとすれば、何を使いますか。ま、国語科なので、主体は文章なのですがね。しかし、モノは生涯に渡って、記憶を鮮明にしてくれると思いますよ。私なら、これです。
カルビー、ポテトチップスのパッケージ
カラー袋
白黒袋
■これが何を意味するか、それは次のことです。
| カラーの袋 | 白黒の袋 |
| ・ビー玉(青・白・赤・黄・光)
・投下前のラムネッチン(遊び) ・色のある生きたまち |
・白い模型のまち(広島の投下前のまちの復元)
・過去のまち ・色のない死んだまち |
2)教材研究ー粗筋ー
■それでは、この作品の教材研究(粗筋編)をしてみます。
| 場面 | 時間 | 空間 | 人間 | 五感 |
| 1.ビー玉で町を思い出す亮 | ・いま、むかし | ・あのまち | ・亮 | ・色のかけら・光・カチカチ |
| 2.ビー玉で遊ぶ亮 | ・放課後 | ・学童クラブ | ・指導員のおじさん ・亮 | ・青みがかった 透明、白っぽい、赤や黄色、光 ・笑った |
| 3.・真由と帰る亮 ・何も知らない亮 |
・六年生の春 ・その日の授業終了後 ・土曜日 ・原子爆弾がおとされたとき ・八十年ぐらい前 |
・ひろしま(転校) ・デルタ のまち(三角州) ・原爆ドームの対岸 ・都会の真ん中 ・森 ・(平和)公園 |
・母さん ・クラスメートと先生 ・真由 ・亮 ・圭太 | ・青空 ・明るく ・緑のにおい ・土のにおい ・鳥の声 ・鐘の音 ・ため息 ・小さい声 |
| 4.・公園ではなかった平和公園・模型のまちを作る亮 | ・ひいじいちゃんが子どものころ ・あの日・秋の文化祭 ・一か月後 |
・高校工作作業室 ・このまち・ひいじいちゃんの家 | ・真由 ・亮 ・圭太 ・ひいじいちゃん | ・白い ・白(7-8回登場) ・接着剤のにおい・太い声 ・額の あ せ ・ 笑い ・耳もと ・二次元から三次元へ |
| 5.夢でかっちゃんと遊ぶ亮 | 夢 ・暑い境内 ・セミ ・ねむりの底 | ・ 路 地 の おく ・お寺の境内 | ・男の子=かっちゃん ・亮 | ・カチン、カチン ・玉がふれ合 う 音 ・ 白い ・青い ・青 ・ 黄 ・赤 ・子どもの声 ・ 色 が ある ・セミが鳴いている ・笑った ・鐘が鳴った ・まっ白 |
| 6.またあの子たちと遊びたいと思う亮 | ・夢 | ・模型のまちの路地 | ・あの子 ・かっちゃん ・ビー玉で遊んだ子・亮 | ・白い ・色があった ・手は温かかった |
| 7.かっちゃんと遊んだビー玉を見つけた亮 | ・もうすぐ夏という日曜日 ・時間が逆もどりしていく | ・資料館 ・発掘調査現地見学会 | ・亮 ・真由 ・圭太 ・ひいじいちゃん ・ほかの見学者・ 出土品係のおじさん ・かっちゃん | ・黒い ・古い土のにおい ・白い ・黄色 ・赤 ・重い大玉 |
| 8.かっちゃんをずっと覚えている亮 | ・また夏が来る | ・T字型の橋の上から川を見下ろす ・原爆ドー ム の 向 こう ・このまち | ・ か っ ち ゃん ・ぼく ・五人 | ・五つのビー玉・まっ黒 ・雲ひとつない青空 ・水しぶき |
3)詳細な研究
■3 間(時間、空間、人間)の確定
・人間:亮=主役(言動が 180 度転回するから)
真由=対役=かっちゃん(どちらでしょう?) 圭太=脇役(主役や対役に主題へのヒントを出す)
・空間:過去と現在の平和公園
・時間:過去と現在、夢と現実
■場面分け(全8場面)
ここは、1 行空けがあるので、それに従って8つに分けました。
■主題:題名が個人名ではないので、題名「模型のまち」が象徴するものを探る
【クライマックス】(主役の言動が 180 度、変わるところ)
「なあんにも知らない」(P132L13・L136L13)亮が「かっちゃん。ぼくはずっと覚えてる」(P144L10)と決意しているシーン
【主題】「ずっと覚えてる」→→ぼくは原爆のこと、戦争のこと、このまちに生きていた人々のことを忘れない!
・忘れてはならない先人の生活があった、だから今がある、平和の大切さ!
4)発問研究
■討論に使える発問を考えてみました。
・「カチカチ小さな音がする。」(P128L5)とは、何の音でしょうか。
<単にビー玉の音と考えるか、それとも生きている心臓の音なのか、生きているという証拠なのか、「玉がふれ合い」とは人々が触れ合っている音という意味か・・・単元後半で問う
>
白は何を意味しているのですか。
<単に、表現上の色なのか、それとも「死を意味する」「過去を意味する」「投下前、生きていた人々やまちの描写」・・・・
ビー玉に閉じ込められているのは、何でしょうか。
<投下前の人々の生活なのか、かっちゃんとのラムネッチンなのか、投下前の平和だったまちの様子なのか、・・・・>
「接着剤のにおい」とありますが、何と何を接着するのですか。
<過去と今、投下前と投下後、投下前のまちと投下後のまち・・・・>
題名「模型のまち」とは、一体何を意味しているのですか
<主題へと・・・・>
・その他、意見が割れるような発問を「教材研究」していきましょう。
5)横断的学習へ
①音楽科との合科
『いのちの歌』→→「模型のまち」
・『生きてゆくことの意味 問いかけるその度に』→→まさしく本題材の主題!!
・『人々の温かさ』→→「かっちゃんの手は温かった」
・『この橋の片隅で巡り会えた奇跡は』→→「ひいじいちゃんが生き残らなかったら、ぼくたちはここにいない。亮君にも会えなかった」
・『どんな宝石よりも大切な宝物』→→「いたけれど、いなくなった。白いビー玉を残して。」「亮の手の中で、玉がふれ合い、カチカチ小さな音がする。そのたびに亮は、あのまちを思い出す。」
・『懐かしく蘇る 出会ったこと 笑ったこと 故郷の夕焼け』→→「かっちゃんは、日焼けした顔で笑った。亮も笑った。どこかで、鐘が鳴った。」
・『見えない ささやかすぎる日々の中に かけがえのない歓びがある いのちはつがれてゆく』→→「原爆ドームの向こうは、雲ひとつない青空。このまちに、また夏が来る。」
②学校行事「修学旅行」との合科
資料館はもちろんなのですが、原爆落下中心地にある地下の様子展示箇所を見学させる。
■とても意味深な物語教材ですね。